街を歩けば、たくさんのモノが溢れているけれど、自分にとって適切なものを見つけるのは、実はとても難しいことなのではないかなと考えることがあります。
美しくデザインされていて、品質が良くて、使いやすくて、作り手の顔が見えるものが欲しい。
よし!!!コレダー!これ欲しい!と思ったものは決まってとっても高くて、なかなか気軽に手に入るものって、ないなと感じています。
時代は目まぐるしく変化をし、割と良さそうなものも手頃な価格で手に入るようにもなりました。
その変化によって、表からはなかなか見えることはありませんが、アパレル業界の解決していかなければいけない社会問題、環境問題は実はとても深刻です。
それらの問題や、影響に配慮しながらも、現代のライフスタイルに応じた、未来のものづくりシステムをまず作っていこう!というところからプロジェクトはスタートしました。
素材づくり
高級なバッグの素材の代名詞は、やっぱりレザーです。天然素材は使えば使うほど味が出てきますし、長い間使えるものではありますが、皮革産業の環境汚染や健康被害の現実を考えたときに、長期的に自分たちが扱いたい素材であるか、というところに疑問がありました。
フェイクレザー、と聞くと、革の代替品、安っぽい、などのイメージがありますが、実際はとても高級感のある質感があり、撥水性、軽さにも優れた優秀な素材が開発されています。
二種類の素材感の違う素材を適切な厚さまですいて、貼り合わせ、LANに最適なオリジナル素材を製作しました。
構造づくり
品質の高い素材であることにこだわりながらも、手頃な価格を実現するために、できるだけ簡素かつ、魅力的な構造づくりが必要でした。
LANのバッグにおいては、一本の糸から形作る、編みの構造を、バッグを組み立てる縫い目の部分に活用することが解決策となりました。
全て切りっぱなしになっているため、美しい切れ目を作る金型作りにも苦戦しました。
考えていたよりもずっとアナログで、手作業の多い、手間のかかる職人さんの手仕事によって一つ一つ手作業で作られています。
モダンでエレガントな、新工芸品
現状アパレル産業で作られている商品のほどんどは、現代においてもたくさんの手作業が必要とされています。その制作風景は、工業というより、工芸的です。
そのような人の手間ひまをかけた完成品に宿る不思議な美しさは、一体どこから生まれるのでしょうか?
これからますますテクノロジーの進化によって手作業が省かれていく未来においても、変わらぬ価値として、残っていくものなのではないかと感じます。
それぞれの文化、歴史背景、気候、存在する素材によって形作られ、長い年月を経ても色褪せることなく、人々の生活に寄り添う形で存在している工芸品。
LANがそんな存在であってほしいと願っています。
使うことで、作ることで、豊かさをもたらすもの。
何気なく購入し、使用している私たちの身の回りのもの一つ一つ。
一消費者の視点に立って考えたときに、本当の意味で自分の生活に豊かさをもたらすものだけを持って生活していきたいと心から感じます。
素敵なものを身につけて、心がウキウキしたり、前向きな気持ちになれる心の動きと同様に、背景にあるものもしっかりと理解し、信頼ができること。
関わっている全ての人が、より良い未来に向かって進んでいると実感できるものづくりの姿勢が、未来の豊かさを築いていくと信じています。
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